今週の山頭火句

今週の山頭火句 旅のかきおき書きかへておく  山頭火

2014年8月18日月曜日

『第4回一草庵夏の子どもまつり・俳句賞』の発表。

8月10日(日)開催予定の「一草庵夏の子どもまつり」台風のため開催できませんでしたが、
19日(火)に開催します。

当日に、事前に募集した夏の子どもまつりの投句俳句より、優秀句を表彰します。
いい俳句が選ばれました。




 『第4回一草庵夏の子どもまつり俳句賞』

小西昭夫選


【特選】にじますをはじめてつったなつのやま  湯築小1年   吉田賢人

  (評)にじますをはじめてつった。ひょっとしたら、ようしょくのにじますかもしれないが、
  はじめてつったかんげきにそんなことはかんけいない。
  ふつうだと「なつのかわ」とか「なつのいけ」としてしまうのだが、「なつのやま」としたところ  がすばらしい。にじますのすんでいるやまのきれいなみずやくうきがみえてくる。

【入選】夏の海夕日しずんでまたあした      湯築小3年  杉山愛佳

  (評)一日海で楽しく遊んだのだろう。日がしずんだので家路につくが明日もまた遊ぶつ
  もり。「またあした」と「夏の海」や「夕日」にあいさつをする。
  童心が輝いている。

【入選】かけ算をおぼえたあとのかき氷     姫山小4年   麻生立樹

  (評)かけ算の九九をおぼえたのだろう。ごほうびは「かき氷」。
  目標をたっせいした後のかき氷、さぞやおいしかったことだろう。

【入選】朝顔ものどがかわいて下向いた    清水小1年   津野仁之介

  (評)朝顔の花がしおれたのをにんげんのように「のどがかわいて下向いた」
  と感じたところがいかにもユニーク。大人には出てこない発想だ。


【佳作】 かきごおりなにをかけるかまよっちゃう  湯築小5年   天野美咲

   (評)レモン、メロン、イチゴ、ミゾレなどなど。どんなシロップをかけるかは「かき氷」を    食べる大きな楽しみ。どれも食べたいので「まよっちゃう」のだ。

【佳作】かきごおりつめたさいっぱいいろいっぱい 姫山小1年金谷奈桜

   (評)あか、みどり、きいろ、しろなど「かき氷」にはいろんないろがある。
   あたまがキーンとするような「つめたさ」がいっぱいで「いろ」も「いっぱい」。
   「いっぱい」のリフレインがとてもいい。

【佳作】カブトムシえさやるぼくがお母さん     清水小3年   二神天珂

   (評)ぼくにしょくじを作ってくれるのはお母さん。かぶとむしにえさをやるのはぼく。
   だから、ぼくは「カブトムシ」の「お母さん」。子供らしい三段論法がおかしい。



白石司子選



【特選】宿題をすると暑さがましてくる       姫山小5年  金谷由菜


   (評)せっかくの夏休みだから、宿題なんかなければいいのに、とかなりいい加減な
   私はいつも思っていたが、この作者は真剣勝負しているからこそ「暑さがましてくる」
   のである。「ます暑さかな」などではなく、「暑さがましてくる」の口語の言い回しが、
   だんだんと増してくる暑さを思わせ、宿題に没頭している作者を想像させる。


【入選】じいちゃんとそろばんはじく南風     姫山小3年  葛西真生


  (評)「じいちゃんとそろばんはじく」音が、夏の到来を思わせる「南風」に乗って聞こえて   きそうな句だ。この句の手柄は、「春風」や「薫風」ではなく、「南風」を取り合わせた
  ところ。「春風」なら、あたたかく明るいだけで終わってしまうし、「薫風」だと爽やかなだけ  に終わってしまう。気温・湿度が高く蒸し暑い夏の季節風「南風」としたことで、じいちゃん  とのさまざまな場面が想像され、それがかえって微笑ましく感じられる。


【入選】クーラーは父の一声使用中       湯築小6年 橋本絢人


  (評)暑くても、省エネの時代なので、朝からクーラーなんてご法度。我慢、我慢。が、
   何処からか、鶴の一声、いや、父の一声。かくして、使用中となったのである。
   「父の一声」がなんとも滑稽。


【入選】川の字でねると始まるお話会     清水小2年  木下陽渡


  (評)家族、或いはお友だちと久しぶりに川の字に寝たんだね。そして、いよいよ始まる
  お話し会。そのお話しは、昔ばなし、いや、お化けの話?いろいろと想像が広がって楽し  くなる句だ。

【佳作】 梅雨ながくあじさい青くかたつむり   姫山小1年  木下絵梨

  (評)「梅雨」「あじさい」「かたつむり」と三つも季語があるけど、自由な句作りをした
  山頭火さんならきっと選んでくれるよね! じめじめとした、いやな長い梅雨だけど、
  その中に咲くあじさいだからこそ、いちばん美しいし、かたつむりにも雨がいちばん
  似合って、いきいきしているよね!「梅雨」という時節を、自分の目でしっかりと見た
  からこそ出来た句だと思う。

【佳作】ぴあのちょっとひけるよさくらんぼ    湯築小1年 西本結

 (評)この句は、「さくらんぼ」と取り合わせたことで、大成功!「ちょっとひけるよ」
 のひかえめなところが、ちょっぴりはずかしそうな「さくらんぼ」の赤とも合っていて可愛い!


【佳作】かわとたねさびしくのこるマスカット  清水小1年 栗田紗梨菜

 (評)薄緑色で、香りもいい「マスカット」。食べている最中は夢中だけど、食べ終えた
  あとの「かわとたね」を見た作者は、ふと「さびしくのこる」と把握したんだね
 ふつうなら「むざん」とか「きたない」としか感じないのだけど、「さびしく」としたところが、
 作者の感性。



本郷和子選



【特選】風鈴で風の音が聞こえるよ      湯築小5年   吉田星哉
  
  (評)風が吹くと涼し気な風鈴の音がする。それを「風の音」と表現したことが素晴 しい。
  いろんな種類の風鈴によって音もそれぞれちがっているから、耳をすますと風の音もよく  聞こえるのだろう。

【入選】かぶと虫土のふとんをかぶっている   湯築小6年  紫垣汰公

 (評)かぶと虫の俳句は木に登っていたり、飛んでいる句が多いが、
 幼虫の間は地中や、堆肥の中にいる。土の中にいるかぶと虫に注目
 したのは珍しい。「土のふとん」がとてもおもしい。

【入選】金魚すくいボクにすくわれおどっている 姫山小5年  久保忠哉

 (評)金魚の側になって俳句にしたところがおもしい。作者の網にすくわれて、
  驚いてピクピク跳ねたのだろう。それを踊っているとしたことは発見だ。


【入選】目の前をツバメがとんだ一ちょく線   清水小3年 山岡登羽

 (評)つばめの飛び方はいろいろで、くるっと回って反転したり地面スレスレ
 に飛んだり自由自在だ。この句は、目の前を一直線にと表現しその瞬間を
 とらえている。

【佳作】キャンプ場夜空にひろがるむげんの星  姫山小4年  岩永 潤

 (評)この句を読むとキャンブ場の夜空が見えてくる。無限の星なので、
 夜空一面の星が、きらきらと美しく輝き心うばわれたことがよくわかる。  

【佳作】セミたちがおいでおいでとだいがっしょう 清水小3年 大塚萌々

  (評)セミの大合唱の様子を、俳句では蝉しぐれとも言う。おいでおいでとセミたちが
  呼んでいると思ったのだろう。セミ取りに飛んでいきたい気持ちがよく出ている。

【佳作】だいすきなぷーるのじかんぼくさかな  湯築小1年  大内陽聖

  (評)プールの時間で、元気よく一生けんめい楽しく泳いでいるのだろう。
  「ぼくさかな」と言い切ったのには感心、感心。魚みたいに泳いでいる君 の姿が
  見えてくる。



熊野伸二選

【特選】桂浜ざぶんと大波おどろいた   清水小1年 大堀新平  
                
 (評)桂浜は、太平洋に臨む景色の優れた高知県の観光名所の浜辺。
 静かな瀬戸内海を見慣れた松山っ子には、太平洋の波は大きくて驚くに違いない。
 「ざぶん」の表現が、驚きを表している。

【入選】せんぷうきいやなきもちもふきとばす  湯築小4年  横内結音

(評)嫌なことがあった上に、このごろの暑さではふゆかいな気持ちにもなろうというもの。
 しかし、せんぷうきにあたると涼しくなるのといっしょに、嫌な気持ちも吹き飛ばしてくれた。

【入選】火の花が夏の夜空にさいている       姫山小5年  二神那奈

(評)花火を「火の花」といい、夜空に「さいている」とつなぐ巧みさ。
火の花は、ほんのいっしゅんパッとさいてパッとちる。だからこそ、いんしょう深い。

【入選】ベランダにホタルが来たよこんばんは  清水小3年 徳永渉

(評)作者の家は郊外にあるのだろう。ベランダへホタルがきたのを、
驚きと喜びをもって迎えている。
「こんばんは」と歓迎の言葉をかけ、家族でホタルの光を追っている様子が目に浮かぶ。

【佳作】ほたるさんみじかいいのちかわいそう  姫山小1年  大澤志織

(評)ホタルの命が短いことを、誰かに教えてもらったのでしょう。
きれいな火を灯すホタルの短い命を、かわいそうと思う気持ちがよく伝わる句。


【佳作】三日月がかくれんぼする夕焼け雲   湯築小5年  加藤彰悟

(評)夕焼雲の動きにつれて、三日月が、雲から出たり入ったりするのを見たようだ。
まるで「かくれんぼ」をしているようだと詠んだのが良かった。

【佳作】雨あがりはっぱのうらからかたつむり  清水小2年 松原愛

 (評)雨が降った後、アジサイの葉っぱでだろうか。
  カタツムリがはっているのを見つけた。