今週の山頭火句

今週の山頭火句 ひらくより蝶がはなのうへ 山頭火

2014年6月12日木曜日

第9回俳句一草庵・入選句の選評です。

斑入りの紫陽花が咲き始めました
「第9回俳句一草庵入選句」を愛媛新聞が紹介してくれた。
入選句の選評を紹介していませんでしたので、報告します。
<俳句一草庵開催日:平成26年4月29日>

俳句一草庵大賞

おぼろ夜のおぼろおぼろのひとり酒  松山市 今岡美喜子

(評)十七音のうち「おぼろ」が三度も繰り返されて九音を占める。
言わずもがなだが「おぼろ」とは「はっきりしないさま」「ぼんやりかすむさま」。そんな夜の過ごし方に「ひとり酒」とくれば、ますます「おぼろ」は極まって「おぼろおぼろ」になるというものだ。住み辛さが募るこの頃、ストレスが昂じてくるから、こんな朧な夜も必要。(熊野)

  
一浴一杯賞 

大杉に耳つけ春の流れている    松山市 伊賀上宜子

 (評)樹木に耳をつけると樹液の流れる音が聞こえたのだろうか。幹に耳をつけると、確かに大杉の生命力を感    じたのだ。それを「春の流れ」と表現したところが秀逸。(小西)


柿しぐれ賞

 城閣の空へ切り立つつばくらめ    
                                  松山東高校 五百木仁志

(評)城の上に広がる大空を、つばめがスイスイと飛んでいる様を「空へ切り立つ」と表現している。つばめは、
上下、左右、斜め、どの方向へも、まるで空間を切るような速さで飛ぶ、若々しく、鋭く、勢いの切れ味のよい
一句となった。(本郷)
 
松山市文化協会会長

つばくらめ待ちて八十路の指定席                                                           松山市 東矢敏子

(評)高齢化社会の現代。私の母も今年一月に八十九歳となったが、健康面などいろいろと問題が多い。が、
掲句の作者は「つばくらめ」が来る時節を忘れることなく、「待」っているのだ。皆に平等にやってくる老い。
こんな「八十路の指定席」であればいいなあと、ふと思った。(白石)

小西昭夫・特選

クジラの背中は退屈すぎないか                                                           伯方高校 福岡日向子

 (評)クジラは冬の季語だが、この句はむしろ無季の句と読む方が相応しいだろう。
大人たちにはクジラの背中は退屈どころか危険な場所かもしれないが、未知の世界に挑む若者には退屈な世界かもしれない。これが青春のエネルギーだろうか。

   入選

太陽と風と話して黄水仙             東温市 高須賀明子

 (評)水仙が冬に咲くのに対して、黄水仙は春になって咲く。春の訪れを告げる花だと言ってもよい。
太陽や風がやさしくなったことを確認して黄水仙は咲くのである。

白石司子・特選

城閣の空へ切り立つつばくらめ    松山東高校 五百木仁志

(評)空へ切ったように鋭く聳え立つ「城閣」と、その空中を鮮やかに翻る「つばくらめ」との二物衝撃句。
大景を切り取った叙景句ともとれるが、「つばくらめ」に自己投影した心境象徴句という考え方も可能である。

  入選

葉桜や空は天守を失はず       松山東高校 下岡和也

(評)美しい桜から「葉桜」へと時節は移り変わっても、「空は天守を失」うことなく、まるで全てを見守るかの
ように存在している。「天守は空を」ではなく、「空は天守を」としたことが手柄で、単なる写生句で終わって
いない。

本郷和子・特選

 満開の微熱を抱いて花巡る      松山市 片岡寿子

(評)桜が満開なのだ。散る前の咲き満ちた桜の全貌は確かに微熱を孕み膨らんでいるように見える。
桜の花を次々と巡りながら、今年も又、桜を見ることができた幸せを実感しているのである。

 入選

故郷を捨て故郷の雪が降る      新潟市 佐藤 憲

(評)物語性のある句である。故郷を出て、もう永い歳月になるのだろう、作者は、雪の降る度、その雪を見て、又、手に受け「ああ、故郷と同じ雪だ」と、遠き日に思いをはせているのだ、なぜか、この句には、せつなさと悲しみと、そして、深い深い作者の思いが伝わってくる。

熊野伸二・特選

  桑の実をふふめばほのと母恋し   岐阜市 若山千恵子

(評)桑は初夏に実をつける。黒紫色に熟れると甘酸っぱく美味しい。
作者は、その桑の実を「ふふむ」=口に入れる=時、幼いころ一緒に桑の実を摘んだのでもあろう今は亡き母を、仄(ほの)かに恋しく想う。童謡「赤蜻蛉」に「山の畑の桑の実を 小籠に摘んだは まぼろしか」とある。
我が国の生糸産業の衰退で、全国各地の桑畑もめっきり減った。
果実酒やジャムに利用された桑の実だが、それもこれも思い出の中に生きている。

 入選

 遠くより流浪の足音柿芽吹く      川越市 小宮山勇

(評)山頭火の終の棲家「一草庵」前には、山頭火健在の頃からの柿の木がある。
その芽吹きのころ庵を訪れた作者には、いまも遥か彼方を流浪している山頭火の足音が聞こえたのであろう。そういえば、庵の郵便受けに「外出中」の文字が見えた。彼はいまも、墨染の衣を翻して、歩き続けているの
かもしれない。

一草庵若葉賞

 クジラの背中は退屈すぎないか   伯方高校 福岡日向子
   
 (評)意表をつく表現である。なるほど鯨の背中の面積は、哺乳類の中でも、これほど広いものはいない。
大きく広いものを、もてあましているわけではないだろうが、鯨にとって、それは意味がある形なのだ。
しかし、作者が思うに、あの、なだらかな曲線の広さは、意味無く退屈そのものであろう。
と鯨に問いかけている。その発想の愉快さに拍手。(本郷)

桜咲く関東平野に雨が降る       飛騨神岡高校 広瀬葉月

 (評)「暗黒や関東平野に火事一つ 金子兜太」という有名な句があるので、
 「関東平野」はなかなか使いにくい言葉だが、果敢に挑戦した。桜が満開の関東平野も美しいが、
  「花の雨」の風情も捨てがたい。(小西)

春泥をもがき転びつサッカー部     飛騨神岡高校 洞垣樹生 

 (評)中七・下五は、「サッカー」などの運動部ではよくある光景かもしれないが、「春の土」などではなく、
「春泥」としたところがうまい。その取り合わせにより、どろどろのぬかるみにはまり、何かに「もがき」、
そして「転びつ」苦悶しているひとつの青春像もうかがえる。(白石)

銭亀や母と自立を約束す        済美平成中等教育高校 渡辺ひかり

(評)「銭亀」はクサガメ、ニホンイシガメの幼体のこと。甲羅が江戸時代の銭に似て円いのでその名で呼ばれ、夜店などで売られている。作者も愛玩しているのだろうか。
「銭亀」が夏の季語だと知っていたのに感服。のそのそ歩く子亀を見ながら、自分も自分の足で歩きだそうーと母親に伝えたのだ。「自立」「約束」の語感に固い決意を感じる。(熊野)


一草庵児童賞

二重とびはじめてとんだももの花    松山市 今岡孝太郎

(評)「ももの花」の季語が成功している。子供だから季語の意味はわからないけれども、二重飛びがはじめて
飛べた喜びが、ももの花に表現されている。今年は、桃の花が特にきれいだった、その姿が子供の目に映った
のだろう。

2014年5月2日金曜日

公開句会「俳句一草庵」の優秀句を発表します。

市民公開の「俳句一草庵」を4月29日開催しました。
募集した俳句を一般の俳句愛好家が、論評しながら俳句審査しました。
その優秀句を発表しましょう。

まず、オープニング・セレモニーとして、着物おどりショーです。


続いて、一草庵の「山頭火俳句ポスト」に投句された俳句、「第13回山頭火俳句ポスト賞」の表彰式です。
山頭火俳句ポストの前で、挨拶をする熊野理事長

「山頭火俳句ポスト賞」受賞の西野さん
台湾からの留学生です。
「なの花に元気をもらって山のぼる」の句が評価されました
第9回の俳句一草庵賞を発表します。
 
   <俳句一草庵大賞>
   おぼろ夜のおぼろおぼろのひとり酒  松山 今岡美喜子

   <一浴一杯賞>(水口酒造協賛) 道後の山頭火の酒「一浴一杯」記念          
   大杉に耳つけ春の流れている     松山 伊賀上宜子

  <柿しぐれ賞>(白石本舗協賛) 山頭火銘菓「柿しぐれ」記念    
   城閣の空へ切り立つつばくらめ     松山東高 五百木仁志

   <松山文化協会会長賞>
   つばくらめ待ちて八十路の指定席    松山 東矢敏子


  募集された投句より、選抜された78句を、掲示板に貼りつけ、披講のあと参加者の投票及び論評により優秀句が絞られたのです。


留学生の皆さん、ハイ!チーズ


<一草庵若葉賞>
 未来に羽ばたく高校生にエールを送る俳句賞です。

 クジラの背中は退屈すぎないか   伯方高校 福岡日向子

 桜咲く関東平野に雨が降る    飛騨神岡高校 広瀬葉月

 春泥をもがき転びつサッカー部      飛騨神岡高校 洞垣樹生

 銭亀や母と自立を約束す               済美平成     渡辺ひかり

<一草庵児童賞>

    二重とびはじめてとんだももの花   花岡孝太郎


おばあちゃん、お孫さん揃って受賞です

選者による受賞句です。

    <小西昭夫選>

   【特 選】
    クジラの背中は退屈すぎないか   伯方高 福岡日向子
   【入 選】
    太陽と風と話して黄水仙       東温市 高須賀明子

   <白石司子選>

   【特 選】
    城閣の空へ切り立つつばくらめ   松山東高 五百木仁志
   【入 選】
    葉桜や空は天守を失はず        松山東高 下岡和也  


   <本郷和子選>

   【特 選】
    満開の微熱を抱いて花巡る       松山市 片岡寿子
   【入 選】
    故郷を捨て故郷の雪が降る       新潟市 佐藤 憲

  <熊野伸二選>

   【特 選】
    桑の実をふふめばほのと母恋し    岐阜市 若山千恵子
   【入 選】
    遠くより流浪の足音柿芽吹く       川越市  小宮山勇


選者の先生たち

 「村上護記念賞」について
山頭火顕彰の第一人者であり、またNPO法人まつやま山頭火倶楽部の顧問を引き受け指導して下さった村上護先生は、昨年6月29日山頭火のいる黄泉の国へ…。

 村上先生が最後に残された唯一の句集『其中つれづれ』があります。
素晴らしい句集です。


 金子兜太先生の言葉、
 「山頭火の放浪の心底に、わがこころを重ねつつ、病後の日常と内奥のさざ波をゆっくり句にしていゆく。その感性には香りがある。」
 ほんとうに、慈愛の香りを肌で感じる先生でした。

 ここに、山頭火及び一草庵と共に、村上護先生の名を後世の人に語り継ぐために、
一草庵での俳句大会賞として、「村上護記念賞」を新設しました。

村上護先生と一番親しく、また俳句の同志であった「月の匣」主宰の水内慶太先生に選抜してもらいましたので、公表します。

村上護記念大賞<水内慶太選>

 おぼろ夜のおぼろおぼろのひとり酒    松山市 今岡美喜子

 先ずシンプルなのが良い。言葉も「おぼろ」と「酒」であとは、「夜」と「ひとり」だ。言葉をここまで単一化したら、読み手にストレートに伝わってくる。盃を口に運ぶたびに、おぼろは深まるばかりだ。酒では紛れない事は作者が一番知っている。単純な言葉の構成ゆえに、淋しさは深い。

俳句一草庵大賞、そして村上護記念大賞も受賞された今岡さん

 一般の部・特選

 野路を来て吾も一草つばくらめ      川越市 小宮山 勇

 作者も又山頭火と同じ遊子に違いない。「一草」になるくらい「野路を」歩いてくるとは、俳句ならではの言い回しといえるか。眼前には草原と、たまにすれ違う燕くらいのものだ。漂泊の感じが漂うのは「吾も一草」の靡くモノだと言い切っているところだ。断定の強さ。

一般の部・入選

 人力の轍にも春温泉の香り            松山市 水口俊幸

 雨後の道後あたりか、うっすらと轍の跡が見えるのか。あるいは車夫からみた轍かも知れないが、そこに「春」を見つけた。温泉にも客がどんどん押し寄せてくるだろう。人力車の「車」を轍で言い表している、中々の技巧派。

 手より逸れ影を離さぬ紙風船          東京 石井 きき

 「紙風船」を手で突いて、遊ぶのだが、掌に紙風船の蔭が生まれるのだが、ひとたび突き損なうとたちまち蔭に逃げられてしまう。「紙風船」側からみたら、影を離してなるものかとなるのだろう。紙風船と一緒にゆらゆら、ふらふらしている影の存在が面白い。写生の目が効いている。



 高校の部・特選

 指切りを見守ってゐる桜かな         弓削高等学校 長島亜希子

 学校の卒業式の頃か、入学の頃か祝福するように桜が咲いている。その桜に、約束の立ち合いをして貰っている。中々洒落た句に成った。これでは忘れることも出来なければ、針を千本飲むより、効果のありそうな約束の現場である。「指切り」と「桜」の取り合せに愛情を感じる。
夏の俳句甲子園の予行演習の帰りに一草庵へ立ち寄ってくれました


 高校の部・入選

クジラの背中は退屈すぎないか       伯方高等学校 福岡日向子

 こう言われてみると、確かに大きな背中でさして楽しそうなものが付いている訳でもない。しかし、クジラの背中を見ることも少なくなったが、海面に上がってきた時には、少しの間その大きな背中が見える。確かにラクダやイルカや海亀などと比べると、「退屈」かも知れない。作者は「退屈すぎないか」などと案じながら、結構興味を寄せながら、楽しんでいるのだろう。

 霊園に美人の立ってゐる寒さ        水沢高等学校 佐藤廉

  夏の「霊園」だと、アレだと、すぐ解かるのだが、季語の「寒さ」が冬のため、アレでは無さそうである。しかし、書かれていないが、一人で美人が立っている霊園となれば、いくら冬とはいえ気持ちの良いものでは無い。この句の面白さは、多くの人が好感を持つことの多い美人に、場所というスチュエーションを変えると、薄気味悪く感じるという実験をしているようで楽しい。

愛媛新聞の本橋さんが取材してくれました

読売新聞の石黒さんが記事にしてくれました
      
※東京では、公開句会「東京マッハ」が、”俳句をつくらなくても楽しめる”という新しい句会形式として好評のようです。人気投票で「選句」を楽しむのだそうです。
 「俳句一草庵」も、来庵者に選句権を与え、論評してもらいました。
 しかし選句を楽しむというより、俳句仲間の句が選ばれるのを楽しみにしていたようです。
 楽しくなければ、俳句でない、そんな雰囲気の楽しい句会ができました。

2014年4月27日日曜日

「第9回俳句一草庵」 公開句会ライブにお越しください!

皆さん、29日は、一草庵にきませんか。
一草庵で公開の句会ライブを行います。
あなたの選句で、俳句賞がきまります。

      俳句一草庵大賞
      一浴一杯賞
      柿しぐれ賞
      松山市文化協会賞
       
 参加者には、どなたも選句権が与えられます。
 どんな俳句が選ばれるか、楽しみですね。
 短期間でしたが、全国、いや外国からの投句がありました。
 一次選考に残った句は78句です。
 その中より、参加者と選者の挙手とディベートで優秀句を
 決定します。
  
   ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「春の俳句一草庵」を、4月29日(祝・火)に開催します。
一草庵での公開句会ライブです。

山頭火の俳句にこだわらなくても結構です。
五・七・五であってもなくても
季語があってもなくても OK。
自由な心で、自然のリズム感あふれる俳句を、
あなたも作ってみませんか。


   俳句を募集中です! 投句締切 4月15日(火)



【日時】 平成26年4月29日(祝・火)13:00~
【会場】 一草庵(松山市御幸1丁目435番地1

「村上護記念賞」を新設しました。


今回、山頭火顕彰に寄与された故・村上護先生を記念して、「一草庵・村上護記念賞」を新設しました。選者は、村上先生といつも、ご一緒に俳句を作られていた水内慶太先生にお願いしました。


 《 募集要項 》
  ☆ 有季、定型・自由律のジャンルは問いません。
  ☆ ハガキ、FAXに 一人2句まで。<未発表作品を>
  ☆ 住所、氏名、年齢、連絡先電話の記入を。 <小中高校生は、学年を記入>
  ☆ 投句料は、無料です。
  ☆ 入選句は新聞に掲載、記念品あり。
  ☆ 投句締切                                      4月15日(火)まで。
 
     送付先 〒799-2651

          愛媛県松山市堀江町甲1615ー3
           NPO法人まつやま山頭火倶楽部

     お問合せ
          Tel 090-6882-0004
          Fax 089-978-5959

  「俳句甲子園」に参加準備中の方々へ、予行演習として、

  挑戦をしてはいかがでしょうか。


  ※ 台湾の義守大学、松本第一高校、伯方高校、弓削高校、松山東高校、
    松山西中等教育学校、水沢高校、飛騨神岡高校、
    所沢高校、済美平成中等教育学校
    新潟県、長野県、東京都、愛知県、千葉県、埼玉県、岡山県、兵庫県
    福岡県の皆さま、
    オーストラリアからも投句がありました。サンキュー。

2014年4月21日月曜日

『第13回山頭火俳句ポスト賞』の発表です。

 『第13回山頭火俳句ポスト賞』を発表します。

おめでとうございます。
(投句期間 25年11月1日~26年2月28日)       
                                        
一草庵の「山頭火俳句ポスト」に投句された俳句は121句。
(内、県外句の数17句、英語俳句2句)
東京、川崎、神奈川、横浜、京都、大坂、山口防府、フィリッピンなどの
全国各地からの投句の中より、各選者の先生に優秀句を選んでいただきました。

表彰式は、4月29日(火・祝)に一草庵で行います。

 

             
  山頭火俳句ポスト賞               


 飛行機雲捕へし寒の潦   松山市 西野周次

(評)潦(にわたずみ)は、水たまりのこと。そこへ空に描く飛行機雲の白い一本の線が映ったのである。季節は寒であるから、冬の空の空気も澄んで、飛行機雲の白い線が、水たまりにくっきりと見えたのであろう。それを「捕へし」と詠み、寒の空、寒の水たまりの冷気と鋭さがうまく表現されている。(本郷評)


 山頭火一浴一杯賞

The warmth  embrance  of  red  kimono
makes  my  winter  glow and grow   ボリヴェール・チャリーナ(フィリッピン)

     (意味:赤い着物に包まれて冬暖かし)

(評)国際交流で訪れた外国の女性が、着物に袖を通して、その暖かさに安堵感と
満足感を味わっているのが詠まれている。
「赤い着物」の表現を見ると、彼女は和服が持つ絵柄や意匠性などよりも、「赤」の色が印象的だったのだろう。着物にも、日本文化の歴史や伝統の集積があることを理解してほしいものだ。(熊野評)


 小西昭夫選

【特選】
なの花に元気をもらって山のぼる  松山市 小濱宗太朗(8歳)

 (評)菜の花が咲いている。その菜の花に元気をもらって登る山なので、
 高い山ではないだろう。それでも、山を登ってゆく弾み心が伝わってきて気持ちがいい。


【入選】
冬至湯に隣りいれずみ男なり      神奈川県 高力英夫

 (評)日本の温泉や銭湯の多くは「入れ墨お断り」になっている。
 だから、隣の人に入れ墨があればちょっと引くかも。
 でも「いれずみ男」といわれると「ねずみ男」みたいでおかしい。

白石司子選

【特選】
The sweetness of persimmon is in the heart of Santokasan                     ボリヴェール・チャリーナ(フィリッピン)

          (意味:柿の甘さが山頭火さんの心)

(評)「柿」の句はこれまでにたくさんみてきたが、「柿」の「sweetness」
つまり、「甘さ・美しさ・愛らしさ・楽しさ」が、山頭火の「心」の中にある、
つまり「心」だと断定したのが斬新。子規も波郷も柿が大好きであったが、
これからは柿イコール山頭火の心と思ってしまいそうだ。
また、山頭火ではなく、「Santokasan」としたことで、山頭火に対する、
憧れ、また、尊敬の念みたいなものも伝わってくる。

【入選】
なの花に元気をもらって山のぼる  松山市小濱宗太朗(8歳)

(評)一句一章で単純明快。そして、黄色い「なの花」の取り合わせが効果的で、
作者だけではなく、一句を元気印、つまり印象明瞭にしている。
なの花に元気をもらった作者は、山のぼりの達成感をきっと味わったことだと思う。
大人になると技巧的になりがちだが、俳句だからとあまり難しく考えないで、
まず、言いたいことを素直にそのまま詠むことが大切。
そして、あとから五・七・五に凝縮させればいい。

本郷和子選

【特選】
山彦に山彦応え春になる          松山市 村上邦子

(評)「ヤッホー」と呼べば「ヤッホー」と応える山彦。だれでもよく経験したものである。
山峡や、谷間に向って大声を出せば、谺(こだま)となって返って来る。
季節は春になるところ。この句を声出して読むと本当に春が来た感じがする。
明快にスッキリと一句にしたところに共感。

【入選】
焼失の寺の地を這ふ仏の座       東温市 井門敬之

(評)昨年焼失した道後の宝厳寺のことであろう。焼けた跡地に春が近くなった頃、
仏の座の草を見つけ、作者は何を思ったのだろう。「仏の座」は春の七草の一つで、
地を這うように丈が短い。「仏」という語を、入れたことで少し救われた気がする。

熊野伸二選

【特選】
朝もやに軋む櫓の音蜆舟         松山市 東矢敏子

(評)払暁、一面に立ち込めている靄(もや)の中から「ギィー、ギィ―」と櫓の音が聞こえてくる。「あれは、シジミ漁に漕ぎ出す舟」と納得する。靄が夜明け直後の静謐を包み込む一方、櫓の音が、遠慮がちに一日の始まりを告げているようにも見える。墨絵のような朝の景が見える佳句詠まれた場所は、船でシジミ漁する島根県の宍道湖あたりか。

【入選】
ちぎれ雲一つ遊ばせ山眠る      松山市 岩井悦子

(評)下五の「山眠る」は「冬山惨淡として眠るが如く」(郭熙の臥遊録)に拠る冬の季語。自然が活動をストップして眠った状態に見える。その山々の上をちぎれ雲が流れているのを「遊ばせ」と詠んだ。静と動の対比の妙を感じさせるスケールの大きな句。その山々も、
いまや「春山淡冶にして笑うが如く」に活動を活発化している。


俳句ポスト児童賞


みゆきじ山松山じょうとせいくらべ  松山市小濱日南子(9歳)

(評)御幸寺山の方が松山城より、高いのであるが、両方の山を見比べた
とき、どちらが高いのかなと考えたのでしょう。せいくらべと思ったところがおもしろい。
(本郷、熊野)





2014年4月4日金曜日

自由律の女流俳人 夏目雅子さんのこと。        (4月12日、BS-JAPANで放映)

 ぬぐつてもぬぐつても汗みどろ

 この句は、山頭火の句ではありません。
 さて、誰の句でしょうか。
浅井慎平さんの句
 作者は「海童」、夏目雅子さんの俳句です。


 高校時代から、俳句を作っていたそうです。
 写真家・浅井慎平さんが主宰する「東京俳句倶楽部」
 に所属していました。
 夏目雅子は、山頭火さんの句が好きだったそうです。
 掲句は、山頭火の句
 「分け入つても分け入つても青い山」を連想しますね。


 夏目雅子さんは、1985年9月11日病に倒れます。
 27歳。

 夏目雅子、没後29年の真実を探る番組が、
 4月12日(土)BS-JAPANで放映されます。
 <21:00~22:549> 
「昭和の微笑 夏目雅子29年目の真実」
 
 俳句の紹介にあわせて、山頭火の紹介もありそうです。
 ご期待ください。


<夏目雅子コト「海童」の句の紹介>


阿婆擦(あばず)れた裸娘(らっこ)の肌に浮雲の影

油照り汗もなく立つ忠犬ハチコウ


梅酒たいらげ梅をかじつて舌つづみ

油照り汗もなく立つ忠犬ハチコウ

時雨てよ足元が歪むほどに

あの人を鳥引く群れが連れて行く

寒空に赤い火は有り難い

水中花何想う水なのか

風鈴よ自分で揺れて踊つてみたまえ

湯文字乱れし冷奴の白

寄せ鍋や湯気かき集め一人じめ

屋台まで賛美歌きこゆ聖夜かな

雪の芽をつけて春待つ梅の里

結婚は夢の続きやひな祭り

間断の音なき空に星花火



「鬼龍院花子の生涯」「時代屋の女房」「魚影の群れ」「瀬戸内少年野球団」
 の映画が見たくなった。
 一番好きな映画は、相米慎二監督の「魚影の群れ」です。

の句

※ 福山雅治さんのダンロップのCM、人気があるようです。

  山頭火の句を福山さんが読むのです。
  ダンロップ・タイタの進化を読みあげているようだ。

  ほととぎすあすはあの山こえて行こう 山頭火

 昭和8年6月20日の句です。
 山口県美祢市伊佐町で詠んでいます。

2014年3月20日木曜日

「3月10日は、山頭火の日」=一草庵流おもてなし・国際バージョンです。

3月10日、「一草庵・山頭火の日」の報告です。

留学生達と日本の文化をつうじて、国際交流を行いました。

中国の人、韓国の人、インドの人、台湾の人、フランスの人が、一草庵へやって来てくれました。

 その一草庵風景を写真を紹介しておきます。
 当日は、愛媛朝日テレビの坂口アナが取材にきてくれ、放映してくれました。



2014年2月25日火曜日

「3月10日は、一草庵・山頭火の日」です。

お知らせです。
「3月10日(月)は、一草庵・山頭火の日」です。

 <この日は、一草庵を公開しています。>



11時間頃から、一草庵で「お餅つき」もおこないます!

13:00から、  ①妻サキノが、山頭火のお話をします。

          そして、
           ②着物姿の留学生との交流が始まります。

           ③一草庵は、「お茶室」に変身して、お茶会を開催しています。
        



           ご来庵をお待ちしています。


               ☆☆ 昨年の「山頭火の日」の様子です。 ☆☆









2014年2月20日木曜日

『第12回山頭火俳句ポスト賞』の掲載。

ずっとずっと、ホームページの更新ができていませんでした。


一草庵では、いま一枝の紅梅が満開です。


昨年の出来事ですが、掲載させていただきます。
『第12回山頭火俳句ポスト賞」の紹介です。
表彰式は25年11月23日に行いました。

 一草庵の「山頭火俳句ポスト」に全国からの訪問者

から俳句が124句、投句されていました。
(内、県外句の数は38句)
北海道札幌市、東京都杉並区・足立区・目黒区、
東京都八王子市、横浜市、埼玉県北本市、岡山県赤磐市・神戸市、高松市、長崎市など全国各地、台湾からの投句の中より、各選者の先生に優秀句を選んでいただき
ました。



『第12回山頭火俳句ポスト賞』の報告です。
(投句期間 25年7月1日~10月31日)
       
山頭火俳句ポスト賞

まっこと山頭火逝きし草庵柿赤し 松山市 安平賢三

(評)「まこと」ではなく、「まっこと」の切り口が、作者の思いを遺憾無く伝達。
もちろん山頭火が「逝きし」ことは作者自身にはわかっているのだが、終焉の地「一草庵」を訪れた時、「もう、山頭火はいないのだなあ」という気持ちを一層強くしたのである。そして、下五「柿赤し」がその印象を強烈なものとさせている。
(白石評)


山頭火柿しぐれ賞

柿したたる鳥のくちばし光る    松山市 太田和博

(評)熟した柿の実がぽたぽたとしたたるのである。鳥はその実をつついたのか、
くちばしが濡れて光っているのだろう。定型句でなく自由律である。
本来「滴り」は夏の季語であるが、この句は水滴でなく、柿の実のしたたりである
から異存はない。「したたりて」でなく、「したたる」と断定し、又「光る」と終結し、その<る>と<る>が快いリズムとなっている。初めての「柿しぐれ賞」にふさわしい秀句と思う。(本郷評)

 ※ 昨年の10月11日、山頭火の命日「一草忌」に、
 山頭火の句「しぐれて柿の葉のいよいようつくしく」に因んで、
 山頭火の和菓子「柿しぐれ」ができました。
 それを記念しての「山頭火柿しぐれ賞」です。
  
さて、銘菓「柿しぐれ」を持っているのは、誰でしょう

小西昭夫・選

【特選】まだまだと一草庵の青い柿  松山市 太田和博

(評)何かしているときに、「もういいか」と思うことはよくある。
しかし、それを諾えば物事はそこで終りである。「まだまだ」という
のは柿の熟れ具合でもあるし、自分へのエールでもある。
「一草庵」と「青い柿」の取り合わせが決まっている。


【入選】山頭火居士の位牌の涼しさよ 岡山県赤磐市 杉生征之進

(評)山頭火の位牌は本当に小さい。小さな位牌のつつましさと「山頭火居士」のみ
のシンプルさが涼しさを運んでくれる。
位牌の山頭火には、もはや煩悩に苦しまなくてよい涼しさがある。

白石司子・選

【特選】流水に秋思のありて留まらず   松山市 西野周次

(評)人それぞれに物思いにふける秋であるが、この句では「流水」に「秋思」を抱いたのが発見。まさに人生は流れる水の如し。生きていればいろいろとあるが、「留まらず」にいるからこそ、それぞれに揺れ動くと考えれば、少しは気持ちが楽になる。

【入選】行く秋や形のきれいな耳をもち 松山市 浅海好美

(評)上五「行く秋や」で切れているが、終止形「もつ」ではなく、「もち」と連用形止としたことで上五へ遡行。立ち去ろうとしている「秋」と中七・下五が妙に響き合い、「形のきれいな耳」だけが取り残されたような印象深い句となっている。

本郷和子・選

【特選】ベッドまで届く名月掌に受ける 松山市 柳瀬文雄

(評)作者は窓際のベッドに寝ているのだろうか。
ガラス窓を通して、名月の光は部屋の中まで届いているのだ。なんと美しい月光、
それを掌に受けるという行為。それは、感動するほどの情景である。
独り静かに無音の時を過ごし、澄み切った秋の空の空気までも伝わってくる。

【入選】醤油屋の猫あくびする冬隣    松山市 太田和博

(評)いよいよ冬がそこにきているという頃の吟行句であろうか。
古町の醤油屋の前の陽だまりで、猫がのんびりと通る人を眺めているのだろう。
少し眠たくなったのかあくびをしている猫の姿がおもしろい。
冬隣の季語が効果的。「パン屋の猫」「魚屋の猫」ではなく「醤油屋の猫」がよい。
一句からほのかに醤油の香りまで漂う。

熊野伸二・選

【特選】流鏑馬の秋天心を射抜きたる   松山市 西野周次

(評)流鏑馬(やぶさめ)は、馳せる馬上から矢継ぎ早に弓矢を射る練習として、平安・鎌倉時代の武士間で盛んに行われたという。現在も、祭りなどに行う所がある。古武士の衣装に身を包んだ馬上の射手が放った矢が、的の板に命中し、真っ二つに割れる瞬間は、晴れた秋空の真ん中を射抜いたような爽快感を催すという句意である。

【入選】麒麟行く後姿や天高し         松山市 中本静枝


(評)現存する動物の中で、最も首が長く、背の高いキリンが、ゆったりと歩いて行く。その上に広がる真っ青な秋空。悠揚迫らざる大型動物・キリンの動きを見ていると、あくせくする人間の所業が愚かしくさえ思えてくる。そこが、動物生態の観察場所であると同時に、癒しの空間たる動物園の存在価値でもあろう。


  一草庵の「山頭火俳句ポスト」 11月~2月分の投句の
 締切りは、2月28日です。
  一草庵へお立ち寄りの際は、是非一句投句を。

 第9回の俳句一草庵は、平成26年4月29日に開催しましす。