募集した俳句を一般の俳句愛好家が、論評しながら俳句審査しました。
その優秀句を発表しましょう。
まず、オープニング・セレモニーとして、着物おどりショーです。
続いて、一草庵の「山頭火俳句ポスト」に投句された俳句、「第13回山頭火俳句ポスト賞」の表彰式です。
山頭火俳句ポストの前で、挨拶をする熊野理事長 |
「山頭火俳句ポスト賞」受賞の西野さん |
台湾からの留学生です。 |
「なの花に元気をもらって山のぼる」の句が評価されました |
<俳句一草庵大賞>
おぼろ夜のおぼろおぼろのひとり酒 松山 今岡美喜子
<一浴一杯賞>(水口酒造協賛) 道後の山頭火の酒「一浴一杯」記念
大杉に耳つけ春の流れている 松山 伊賀上宜子
<柿しぐれ賞>(白石本舗協賛) 山頭火銘菓「柿しぐれ」記念
城閣の空へ切り立つつばくらめ 松山東高 五百木仁志
<松山文化協会会長賞>
つばくらめ待ちて八十路の指定席 松山 東矢敏子
募集された投句より、選抜された78句を、掲示板に貼りつけ、披講のあと参加者の投票及び論評により優秀句が絞られたのです。
留学生の皆さん、ハイ!チーズ |
<一草庵若葉賞>
未来に羽ばたく高校生にエールを送る俳句賞です。
クジラの背中は退屈すぎないか 伯方高校 福岡日向子
桜咲く関東平野に雨が降る 飛騨神岡高校 広瀬葉月
春泥をもがき転びつサッカー部 飛騨神岡高校 洞垣樹生
銭亀や母と自立を約束す 済美平成 渡辺ひかり
<一草庵児童賞>
二重とびはじめてとんだももの花 花岡孝太郎
おばあちゃん、お孫さん揃って受賞です |
選者による受賞句です。
<小西昭夫選>
【特 選】
クジラの背中は退屈すぎないか 伯方高 福岡日向子
【入 選】
太陽と風と話して黄水仙 東温市 高須賀明子
<白石司子選>
【特 選】
城閣の空へ切り立つつばくらめ 松山東高 五百木仁志
【入 選】
葉桜や空は天守を失はず 松山東高 下岡和也
<本郷和子選>
【特 選】
満開の微熱を抱いて花巡る 松山市 片岡寿子
【入 選】
故郷を捨て故郷の雪が降る 新潟市 佐藤 憲
<熊野伸二選>
【特 選】
桑の実をふふめばほのと母恋し 岐阜市 若山千恵子
【入 選】
遠くより流浪の足音柿芽吹く 川越市 小宮山勇
選者の先生たち |
「村上護記念賞」について
山頭火顕彰の第一人者であり、またNPO法人まつやま山頭火倶楽部の顧問を引き受け指導して下さった村上護先生は、昨年6月29日山頭火のいる黄泉の国へ…。
村上先生が最後に残された唯一の句集『其中つれづれ』があります。
素晴らしい句集です。
金子兜太先生の言葉、
「山頭火の放浪の心底に、わがこころを重ねつつ、病後の日常と内奥のさざ波をゆっくり句にしていゆく。その感性には香りがある。」
ほんとうに、慈愛の香りを肌で感じる先生でした。
ここに、山頭火及び一草庵と共に、村上護先生の名を後世の人に語り継ぐために、
一草庵での俳句大会賞として、「村上護記念賞」を新設しました。
村上護先生と一番親しく、また俳句の同志であった「月の匣」主宰の水内慶太先生に選抜してもらいましたので、公表します。
村上護記念大賞<水内慶太選>
おぼろ夜のおぼろおぼろのひとり酒 松山市 今岡美喜子
先ずシンプルなのが良い。言葉も「おぼろ」と「酒」であとは、「夜」と「ひとり」だ。言葉をここまで単一化したら、読み手にストレートに伝わってくる。盃を口に運ぶたびに、おぼろは深まるばかりだ。酒では紛れない事は作者が一番知っている。単純な言葉の構成ゆえに、淋しさは深い。
俳句一草庵大賞、そして村上護記念大賞も受賞された今岡さん |
一般の部・特選
野路を来て吾も一草つばくらめ 川越市 小宮山 勇
作者も又山頭火と同じ遊子に違いない。「一草」になるくらい「野路を」歩いてくるとは、俳句ならではの言い回しといえるか。眼前には草原と、たまにすれ違う燕くらいのものだ。漂泊の感じが漂うのは「吾も一草」の靡くモノだと言い切っているところだ。断定の強さ。
一般の部・入選
人力の轍にも春温泉の香り 松山市 水口俊幸
雨後の道後あたりか、うっすらと轍の跡が見えるのか。あるいは車夫からみた轍かも知れないが、そこに「春」を見つけた。温泉にも客がどんどん押し寄せてくるだろう。人力車の「車」を轍で言い表している、中々の技巧派。
手より逸れ影を離さぬ紙風船 東京 石井 きき
「紙風船」を手で突いて、遊ぶのだが、掌に紙風船の蔭が生まれるのだが、ひとたび突き損なうとたちまち蔭に逃げられてしまう。「紙風船」側からみたら、影を離してなるものかとなるのだろう。紙風船と一緒にゆらゆら、ふらふらしている影の存在が面白い。写生の目が効いている。
高校の部・特選
指切りを見守ってゐる桜かな 弓削高等学校 長島亜希子
学校の卒業式の頃か、入学の頃か祝福するように桜が咲いている。その桜に、約束の立ち合いをして貰っている。中々洒落た句に成った。これでは忘れることも出来なければ、針を千本飲むより、効果のありそうな約束の現場である。「指切り」と「桜」の取り合せに愛情を感じる。
夏の俳句甲子園の予行演習の帰りに一草庵へ立ち寄ってくれました |
高校の部・入選
クジラの背中は退屈すぎないか 伯方高等学校 福岡日向子
こう言われてみると、確かに大きな背中でさして楽しそうなものが付いている訳でもない。しかし、クジラの背中を見ることも少なくなったが、海面に上がってきた時には、少しの間その大きな背中が見える。確かにラクダやイルカや海亀などと比べると、「退屈」かも知れない。作者は「退屈すぎないか」などと案じながら、結構興味を寄せながら、楽しんでいるのだろう。
霊園に美人の立ってゐる寒さ 水沢高等学校 佐藤廉
夏の「霊園」だと、アレだと、すぐ解かるのだが、季語の「寒さ」が冬のため、アレでは無さそうである。しかし、書かれていないが、一人で美人が立っている霊園となれば、いくら冬とはいえ気持ちの良いものでは無い。この句の面白さは、多くの人が好感を持つことの多い美人に、場所というスチュエーションを変えると、薄気味悪く感じるという実験をしているようで楽しい。
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愛媛新聞の本橋さんが取材してくれました |
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読売新聞の石黒さんが記事にしてくれました |
※東京では、公開句会「東京マッハ」が、”俳句をつくらなくても楽しめる”という新しい句会形式として好評のようです。人気投票で「選句」を楽しむのだそうです。
「俳句一草庵」も、来庵者に選句権を与え、論評してもらいました。
しかし選句を楽しむというより、俳句仲間の句が選ばれるのを楽しみにしていたようです。
楽しくなければ、俳句でない、そんな雰囲気の楽しい句会ができました。