今週の山頭火句

今週の山頭火句 すわれば風がある秋の雑草  山頭火

2011年7月27日水曜日

一草庵だより第15号

一草庵だより第15号ができました。
今回は、「山頭火俳句ポスト賞」の発表がありましたので、6ページになっています。

〈内容〉
・ 今月の山頭火句
・ 「松山の俳句」を学ぶ講座開く
・ 山頭火検定へ 公式テキスト再版
・ 一草庵で夏の思い出づくり
・ 俳句一草庵に寄せて
・ お城が見えます
・ 山頭火第2の故郷 熊本へ馳せる
・ 山頭火書籍新刊案内
・ 斑猫の庭
・ 案内人、徒然ばなし
・ グループホームの方 癒しを求めて一草庵へ
・ 編集後記
・ 「山頭火俳句ポスト・ジュニア賞」決定発表
・ 「第5回山頭火俳句ポスト賞」決定発表



2011年7月7日木曜日

風あたたかく坊やの飛行機よう飛ぶ飛ぶ

 「一草庵夏の子どもまつり」に遊びにきませんか!
皆さん、8月8日は「まつやま子どもの日」ということを、ご存知ですか。
ひな祭りの日(3月3日)と、端午の節句(5月5日)を合わせると「8月8日」になることから、この日を松山市は「まつやま子どもの日」として制定しています。
この趣旨に賛同し、「まつやま子ども週間」の協賛イベントとして 
 「一草庵夏の子どもまつり8月7日(日)に開催することにしました。
 (共催:一草庵管理協力会、松山市清水公民館、支援:松山市青少年育成市民会議)

“一草庵は、パワースポット!
  学んで、遊んで、楽しもう。”が、キャッチフレーズです。
     伊予弁で語る民話「山頭火さんのお話」のお話を聞きながらお勉強。
     皆で俳句を作って、七夕飾り。
     昔遊び「竹とんぼ」、折り紙で「独楽」を作って遊びます。
☆ 氷彫刻の実演もありますよ。
     皆でそーめん流し、スイカ割り、かき氷を作って楽しみましょう。
家族で揃って、是非遊びにきてくださいね。
昨年度のそーめん流し風景
 山頭火に一草庵で作ったこんな句があります。
     一草庵南縁
  風あたたかく坊やの飛行機よう飛ぶ飛ぶ
  
坊やとは藤岡照房さん(晩年の山頭火を支えた藤岡政一さんの長男)のこと、
飛行機とは「飛行玩具」で竹とんぼのこと。
一草庵の休憩室に高さ1.2Mのムクの木のプロペラが展示されています。
香川在住のイタリア人彫刻家ルカ・ローマさんの作品です。
山頭火が句にこめた思いと、木が持つ自然の生命力の豊かさをプロペラに託したそうです。
 8月7日の一草庵の空に、竹とんぼの飛ぶ姿が目に浮かんできます。
ルカ・ローマ作、山頭火のプロペラ
                   

2011年7月3日日曜日

一草庵「今月の山頭火句」(7月)

 鴉啼いてわたしも一人
鴉啼いている寒暮、「お前も一人か、私も一人だよ、みんな生まれる時も死を迎える時も、一人なんだよ」つぶやく旅人。しかし日暮れは、みんな明りの灯る家路をさしているのに……私は一人。(ちとせ)

 尾崎放哉は、大正15年4月7日小豆島南郷庵でさびしく没す。それを知らずひとり山頭火は、4月10日行乞流転の旅に出た。
 旅の途中で、その死を知ったのであろう。

この句には、放哉居士の作に和してと前書きがある。
師・井泉水は放哉の「烏がだまって飛んでいった」に和したといっているが、「咳をしても一人」のように思われる。
「咳をしても一人」は、無駄のない完璧な100満点の句で、頭のいい人が好きなようだ。
この句、ほんとうに一人ぼっちで、限りなく淋しい、そして、そこには誰もいない。 内なる世界へと深く深く入っていくようだ。

山頭火は、カラスの声に共鳴する。山頭火の句には、いつもコウロギや蝶々やドンボが登場し、小宇宙の世界が広がる。そして、あなたはどうですかと、問いかけてくる。
(松山でお会いした宗教学者・山折哲雄さんは、この句が一番好きですと
いっていました。)
山頭火の句の英訳を紹介しておきます。
 The cawing of  a crow -
  I also am alone.               ジェイムズ・グリーン


<一口メモ>
山頭火は、『層雲』へ大正9年14句を発表して以来、跡をたち大正15年層雲へ7句を発表し復活する。

分け入つても分け入つても 青い山
鴉啼いて私も一人
△さみだるる大きな仏さま
しとどに濡れて之は道しるべの石
炎天をいただいて乞ひ歩く
△日ざかりの水鳥は流れる
木の葉散り来る歩きつめる

この層雲発表句は、松山一草庵で昭和15年2月、自選句集「草木塔」をまとめた句稿では次のようになる。
△2句は削除され、「生死の中の雪ふりしきる」が追加挿入される。

分け入つても分け入つても 青い山 
しどどに濡れてこれは道しるべの石
炎天をいただいて乞ひ歩く
鴉啼いてわたしも一人
生死の中の雪ふりしきる
木の葉散る歩きつめる
この連作6句が、山頭火が復活する大正15年の句。
一草庵に咲く、ヒメオオギスイセン

誰が植えたのかわかりませんが、いま一草庵にヒメオオギスイセンが咲いています。
葉が扇のようで、花が水仙に似ているので、こんな名前が付いたそうです。
水槽に泳ぐ金魚のようにも見えます。

すっかり忘れていました。一草庵の中のカレンダーです。
メンバーの山頭火案内人の方がもってきてくれた、西予市にある野村学園の皆さんが作成された
「どろんこのうた」版画カレンダーです。
今年は山頭火のカレンダー、7月・8月はこの句の版画でした。
わたしも一人だと自覚しながら、杖を握って歩く若い姿の山頭火、からすも前をめざしてとんでいきます。
明るく、力強く、きれいに澄み切った作品です、見事に山頭火さんの句が表現されています。
励ましてくれるのは、「なでしこジャパン」だけでなかった。