今週の山頭火句

今週の山頭火句 だんだん晴れてくる山柿の赤さよ  山頭火

2017年12月15日金曜日

『第24回山頭火俳句ポスト賞』の表彰!



今日12月15日は、山頭火の一草庵入庵日です。
山頭火の遺品「鉄鉢」を展示しています。
あわせて、「第二十四回山頭火俳句ポスト賞」の表彰式を行いました。                                             一

一草庵の「山頭火俳句ポスト」に投句された俳句は、134句。
(内、県外句は十七句。)藤沢市、横浜市、東京都日野市、埼玉県鴻巣市、四国中央市、ポーランド・ワルシャワ等。各選者の先生に優秀句を選ん
でいただきました。 (投句期間 平成二九年六月一日~十月三一日)
                      
山頭火俳句ポスト大賞
来た道も行く道木の葉降りしきる   松山市 岩崎美世

【評】決して平坦ではなかった「来た道」、しかし、それも「行く道」であったはずで、振り返ると木の葉が盛んに降っている。「木の葉降りしきる」のフレーズが、映画のワンシーンのような効果と共に、来るべき春への再生をも想像させる。(白石)

山頭火一浴一杯賞
水注ぐ土魂プクリと涼を飲む      松山市 亀井紀子 

【評】カラカラに乾いた土魂だったのだろう。水を注ぐと土魂はまるで水を待っていたかのように、人間で言うと、ごくごくと水を飲むように、土魂は「プクリ」と水を吸い込んだのだ。それを「涼を飲む」と結句で締めたところはベテランの味がする。「プクリ」という発想もおもしろい。オノパトペをうまく使っている。一浴一杯のお酒を土魂に捧げたい。(本郷)

山頭火柿しぐれ賞
捨聖追うてどんぐりころがれり    松山市 水口俊幸  【評】「捨聖」といわれると、すぐに一遍を連想するが、山頭火もまた
「捨聖」と呼んでいいだろう。どんぐりに慕われる聖は山頭火こそふさわ
しいかもしれない。「柿しぐれ賞」に相応しい作品である。(小西)

小西昭夫選
【特選】
 逆打ちの遍路に出逢ふ登校日  松山市 楠本 たけし

【評】逆打ちのお遍路さんは、より大きな願いや惑い、苦しみを持って札所
を回っているに違いない。そんな逆打ちのお遍路さんに登校時に出逢ったの
だ。朝早くから逆方向に向かうお遍路さんに出逢って若い作者(おそらくは)
は人間のもつ闇に思いが及んだのだ。

【入選】
 炎帝や赤い音来る救急車       松山市 太田辰砂

【評】「炎帝」は夏を司る神のことだが、ギラギラした太陽を思わせる。
事故か急病人か。炎暑の中を赤色灯を点灯し「ピーポーピーポー」とサ
イレンを鳴らしやって来る救急車。それを「赤い音」とは見事な表現だ。

白石司子選
【特選】
 風音に百の詩あり草紅葉      松山市 大川忠男

【評】日常の喧噪を離れ「風音」に耳を傾けると、心情に寄り添うようにある「百の詩」。手の届きそうにない「千」とか「万」ではなく、「百」としたところがこの句のいいところで、田の畔や土手の上などに色づく身近で美しい「草紅葉」とうまく響き合う。

【入選】
 一の湯二の湯三の湯ならぶ雲の峰  松山市 渡部秀美 

【評】作者の眼前にあるのは温泉、それとも雲の峰、それによって解釈はわかれるが、一の湯二の湯三の湯とならぶ温泉から湧く湯けむりを「雲の峰」のようだと見立てた句とみていいだろうか。一、二、三の数詞がリズムを、また、雲の峰との響き合いが、地上の温泉から温泉をではなく、天上の雲から雲へと心ゆくまで堪能している姿を想像させる。


本郷和子選 
【特選】
 秋螢ハットを被り昇天す        松山市 太田辰砂

【評】八月に亡くなられた山頭火倶楽部理事長の熊野伸二さんへの追悼
句であろうか。いつもおしゃれに帽子を被り紳士そのものだった。氏の
遺影もこの帽子姿であった。螢は、最後に天へ昇ってから死すという。
今頃、熊野さんは天上にて、俳句ポストの選をしておられるかも知れない。

【入選】
 三日月に腰かけて見る宇宙かな   四国中央市 星川さと子
 
【評】まるでメルヘンである。このような句は、柔軟な発想力と若々しい感性を持つ人でないと作れない。この句は、俳句として「三日月」というきちんとした季語も入っている。写生一辺倒な俳人には理解できないだろう。俳句もまた詩である。目をつむれば、壮大で、青くて暗い宇宙に浮かぶ三日月にチョコント腰をかけている作者が見えてくる。

 まつやま山頭火倶楽部賞
 柿の実も私を迎う一草庵     ポーランド 梅田アグニエシカ

【評】飾った言葉を何一つ使わず、秋の一草庵を訪ねた清純な気持ちが伝わってくる、一草庵の柿にウインクしているようだ。「もの」から「姿」が見えてくる。作者は誰だろう。ポーランドのワルシャワ大学で日本語を教えていたという素敵な女性だった。俳句結社『葛』(師系・高野素十)の俳人で、ポーランドでも句会を開催してるそうだ。一草庵のシンボル・象徴たる柿の実が心をひとつにしてくれた。