今週の山頭火句

今週の山頭火句 さてどちらへ行かう風がふく  山頭火

2011年3月27日日曜日

『第4回山頭火俳句ポスト賞』が決定しました。

『第4回山頭火俳句ポスト賞』決定発表。
(投句期間 22年11月1日~23年2月28日)
受賞記念品

一草庵「山頭火俳句ポスト」に投句された151句(内、県外句は21句。新潟長岡市、富山高岡市、山口周防大島、埼玉、大阪、沖縄読谷村等、歩き遍路と書かれた投句あり)。
各選者の先生に優秀句を選んでいただきました。
4月29日「俳句一草庵」開催日に表彰式をおこないます。

山頭火俳句ポスト賞(冬季)
 三寒四温平和通一丁目   松山市 浅海好美

(評)観念的に割り切れても割り切れない俗界の泥沼、人間の片足はいつも捉われる。
素朴な目醒めは、心の豊かさをもつ。生活の営みを続けてこそ平和がある。(高橋選)

小西昭夫・選
【特選】 陽だまりの中に庵と葉ぼたんと 伊予市 松本公子

(評)温かい気持ちになる句だ。日だまりの中にある庵と葉ぼたんを並べて詠んだだけの
句のようだが、贅沢ではないが気持ちよく清潔な空間である。
改めて、幸せとは何かを考えさせてくれる句である。

【入選】 ゴキブリに好きになれぬと詫びにけり 北九州市小倉 平井酔夢 

(評)笑ってしまう。ゴキブリが嫌いだといってしまえば身も蓋もない。
もちろん、俳句にはならない。しかし、好きになれぬといえば俳句になる。
詫びれば尚更である。

白石司子・選
【特選】 考える容(かたち)に冬鴉        松山市 伊藤海子

(評)全体で十四音であるが、「考える/容(かたち)に/冬鴉」と三音節となっているため、
俳句として違和感はないと思う。「かたち」を「形」でなく「容」としたのが作者の
手柄で、寒さに、或いは何かに耐え、枯れ木にじっと止まっている様子が、
まるで考えるかたちとなってしまったかのような鴉の風貌を彷彿させる。
また、冬に見かける鳥の総称である「寒禽」でなく、黒い魂としての「鴉」の視覚
効果も抜群。
ただ、「冬鴉」は「寒鴉」としたほうが、「考える容」とより一層響き合ってくるのか
もしれない。

【入選】 碑に鉄鉢の二字冬ざるる    松山市  伊藤海子

(評)中七は、「鉄鉢の中へも霰」の二字であろうか。終焉の地・一草庵を訪れた作者
山頭火の生きざまの凝縮でもある碑の「鉄鉢」の二字に触発されて、
行乞の旅を思い。「冬ざるる」ものを感じたのである。そして「鉄鉢の二字」
同様、一草庵のまわりの風景も。作者の心象も、いよいよ寂漠たる冬へと
向かってゆくのである。      

高橋正治・選
【特選】  見上げれば柿と青空          松山市 河淵陽子

(評)悠久な流れの底の深さ、無限のしずけさに心を浄め、まずは足下の土とうなづく
地上一切、遂に一如の光りに納まる。

【入選】 素足が痛いもう寒の入り     松山市 竹原 清

(評)今日を生き、飯を食いものを考えて生命を自覚する。寒にしびれた時、
浄らかなささやきがある。寒いときは寒い、暑い時は暑いというがよい。


本郷和子・選
【特選】 陽だまりの猫となりたる遍路哉   北九州市小倉 平井酔夢


(評)遍路の途中、陽だまりの中でひと休みしているのだろう。ぽかぽかと陽に包まれ
て丸くなっているお遍路さんは猫のように、ではなく、そのまま本当に猫になってしま
うのだ。ひょっとして、お遍路さんは山頭火かも知れない。
なんという温かい優しい一句であろうか。


【入選】  まっすぐな木にまっすぐな冬の雨   松山市  伊藤海子

(評)おそらく、天に向かってまっすぐに突っ立つ大樹であろう。そこへ静かに、
まっすぐに雨が降っている。ただそれだけのことであるが、まっすぐという
リフレインが、いかにも直接的に心に入ってくる。
作者の心情もまっすぐであるにちがいない。

熊野伸二・選
【特選】 考える容(かたち)に冬鴉         松山市 伊藤海子
 
(評)木の枝などに停って、ちょっと首をかしげ、目をくりくりさせている鳥は、
何かを考えているように見える。人の生活圏に住む鳥はゴミを食い散らかしたり、
農産物を荒らしたりして嫌われ勝ちだが、紀州の熊野神社の神の使いの八咫烏
(やたがらす)もいるし、女性の髪のうつくしさを「烏の濡羽色」と例えられても
いる。よく鑑賞すれば愛らしさもある。

【入選】 熟柿落ち猫身構える昼の庵      松山市 柳垣利行

(評)小春日和の昼、猫がのんびり歩いている。そこへ熟柿がポタリと落ちた。
一瞬、野生の防衛本能を取り戻した猫は、きりっと緊張して身構えた。静から動
への一瞬の変化を見事に捉えた。猫が人に飼われて数千年。すっかりペットとな
っても、野性は失っていないのだ。

【一草庵若葉賞】
 ゆきだるまいつもま冬のヒーローだ  松山市 わたなべふくたろう(8歳)

(評)雪が降ると、子どもたちは、雪合戦や雪だるまづくりを楽しむ。庭や道ばたに
でんと座った雪だるまは、「どうだ」といわんばかり。「寒い」とか「車の運転が
不如意」とか嘆く大人とは異次元の子どもの世界がそこにある。