今週の山頭火句

今週の山頭火句 旅のかきおき書きかへておく  山頭火

2011年12月4日日曜日

「第5回俳句一草庵受賞俳句」の紹介。

秋の吟行俳句「俳句一草庵」の受賞句を紹介します。


吟行コースは、長建寺から一草庵でした。

一草庵で一人2句までとして投句をしてもらい、
その場で公開選句を実施し選ばれた俳句です。
 (投句71句、参加者36名+選者5名)  




俳句一草庵賞

檄(げき)が飛ぶ銀杏並木の校庭に     松山市 山下清治

(評)高校や大学の部活動の光景だろう。檄を飛ばすのはコーチや監督。練習でも試合でもいいだろうし、種目もいろいろ考えられるが、いかにも青春といった若々しさがまぶしい。(小西)

小西昭夫・特選

城山の風を受けたり吊し柿    松山市 森岡隆子

(評)以前にはどこの家庭でも見かけた吊し柿は田舎でもずいぶん減ってしまった。まして、都市部ではあまり見かけないが、城山の麓にはそんな風景も残っている。城山の風を受けた吊し柿がとてもおいしそう。城下町の風情が魅力的。

白石司子・特選
紅葉山血圧少し高めです     松山市 浅海好美

(評)住職さまのご好意で特別に開放してくださったという、長建寺「天岳楼」からの「紅葉山」は圧巻。
 それを見た、ちょっぴりオーバーヒート気味の感動が「血圧少し高め」。また、上五で切れてはいるが、中七・下五は、血圧が少し高めと思われるほど美しく紅葉した山の姿そのものでもある。韻文といえば文語ともいわれるが、この句の場合の口語「です」は、作者の生(なま)の感動を伝えるのにふさわしいと思う。

伊藤海子・特選       

寒鯉の跳ねて一山動きけり      松山市 井上由美子  

(評)古刹の静かな庭の池の冬の鯉が跳ねた。その驚きを「一山(いちさん)
<寺領のこと>」の響きと感じたのであろう。

本郷和子・特選

子規芭蕉山頭火句碑時雨来る   松山市 岩崎美世  

(評)この3俳人の句碑が揃っている場所は、長建寺だけであろう。
 この地を吟行した証の句である。紅葉の名園に時雨、それぞれに個性
 のある句碑、3人の名を並べても違和感はない。

熊野伸二・特選

武士(もののふ)の求道館(くどうやかた)や紅葉濃し      東温市 井門敬之

(評)吟行した長建寺池畔「天岳楼」は、築山の風情を鑑賞する和風建物。
これを作者は、武士が四季折々の自然に対峙し、人生を考える場―すなわち
「人間淘冶の館」と観た。そこには秋冷の中、鮮やかな紅葉がある。
静謐と情熱の見事な混交だ。

一草庵会場賞

片時雨後姿を追いかける     松山市 島川むる子

(評)「時雨の後姿」といえば、言わずと知れた山頭火だ。
「自嘲」と前書きのある「うしろすがたのしぐれてゆくか」の句がある。
時雨の季節、その形を追うのでなく、詩精神を追究したい作者だ。

松山フォークソングの大御所「テルミーズ」