
山頭火がどこを通って太山寺に行ったのか、詳しいことは私にはわかりませんが、おそらく遍路道を通ったのではないだろうかと思い、今回は一草庵前を通る遍路道を選びました。この遍路道は左の写真にあるようにずっと「大川」沿いを歩く道です。山頭火はこの川を眺めながら
濁れる水の流れつつ澄む
と自らの境涯を詠んだと言われます。
今は花の季節です。大川沿いにはたくさんの桜が咲きはじめています。
一草庵から少し下ったところ、上の写真の桜の向こうに「千秋寺」があります。
千秋寺の境内には、山頭火の
トマトを掌に、みほとけのまへに、ちちははのまへに
の句碑があります。
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来迎寺の桜 |
来迎寺をぐるっと回った裏側には日露戦争のとき捕虜となった人々を、現在まで手厚く祀っている「ロシア人墓地」があります。
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伊予節にも歌われる十六日桜 |
その上にある「龍穏寺」には句碑が建てられており、西行や芭蕉と並んで山頭火の俳句も刻まれています。
咲いて一りんほんに一りん
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法華寺の桜 |
ちょっと寄り道をしてしまいましたが、元の道にもどりましょう。
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法華寺の桜 |
来迎寺を少し行ったところにある法華寺の桜もまた見事です。次々と多くの人たちがそれを見に訪れていました。

長建寺からまた大川沿いに遍路道は続きます。
遍路道がわからなくなって、迷うんじゃないかと心配しましたが、それは杞憂でした。さまざまな標識が案内してくれました。

石の指さすままに花野のみちはまよはず来た
一草庵からおよそ8キロメートル、やっと太山寺に着きました。一の門、二の門をくぐり、木立のそびえる荘厳な雰囲気の参道の傍らに山頭火の句碑が建てられていました。
もりもりもりあがる雲へあゆむ
この句は、昭和15年9月この太山寺で詠まれたといわれています。この雰囲気の中に佇む山頭火はいったいそのとき何を想ったのでしょうか。
四国八十八箇所霊場第五十二番札所太山寺本堂(国宝) |