今週の山頭火句

今週の山頭火句 萩の一枝に日がある  山頭火

2012年4月19日木曜日

一草庵「今月の山頭火句」(4月)

ひとりひつそり竹の子竹になる

 昭和9年「私はようやく『存在の世界』にかえって帰家穏座のここちがする」と日記にあるが、
其中庵という安住の地を得ての句。心穏やかな心境がでている。(ちとせ)

「山頭火は昭和7年9月20日、其中庵庵主となる。
この事実は、大満州国承認よりも、私には重大事実である」と日記にしたためる。
日々よい句を作っている。
  こころすなほに御飯がふいた  山頭火
しかし、翌年8年の5月頃から、山頭火の遊び心が顔を出し始めます。
昭和9年2月19日から27日、北九州へ旅立つ。
前日18日の日記には、「明日から東行前記ともいふべき、北九州めぐり、旅日記」と記す。

書・梅岡ちとせ

息子・健に、山頭火は「チチキトクスグコイ オオヤマ」の電報を出す。
会いに来た健に、「健か、すまん」
「今日はのう、信州から越後の方へ遠い旅をするので、一目でも会っておきたい思ったのだ」
山頭火は淋しく語り、そして、死を覚悟して旅に出るのだった。
昭和9年3月22日、井月の足跡を訪ねて東行の旅へ。
しかし、飯田で発病し、井月の墓参は果されず、4月28日其中庵へ帰ってくる。


 今月の山頭火句「竹の子の句」は、昭和9年7月1日の日記に出ている。
 晴、つつましくすなほな生活を誓う。
 △筍を観ていると、それを押し出す土の力と、伸びあがるそれ自身の力とを感じる。
 とあり、次の句も作っている。

    あをあをと竹の子の皮ぬいでひかる
   竹の子竹の子となった皮ぬいだ
   竹のこ伸びるよとんぼがとまる

  「草木塔」(山行水行)には、 「 ひとりひつそり竹の子竹になる」の句を、山頭火は選んでいる。
  庵に一人で住み、静かに現実を直視する。
 「ひとりひつそり」、「竹の子竹に」、このリズム感、誰がまねできようか。名句ですね。
 とり立ての美味しい筍を食べています。山頭火さんにも、差し上げたくなりました。

 この日の句には、
 うれしいこともかなしいことも草しげる
 もあります。この句も「草木塔」に選ばれています。
 
それでは、山頭火句の英訳を紹介しておきます。

Quietly, by itself -
 The bamboo shoot,
 Becomes bamboo.  ジェイムズ・グリーン
垣根に紅花常盤満作の咲く一草庵