今週の山頭火句

今週の山頭火句 この木もあの木もうつくしい若葉  山頭火

2012年8月16日木曜日

映画「あなたへ」 主演:高倉健                山頭火句集『草木塔」を携えての旅



映画「あなたへ」脚本(青島武)を原案として、創作された森沢昭夫の小説「あなたへ」を読んだ。

8月25日公開される映画のチラシ写真を見て、高倉健が、ビートたけしが、手にしている本が、潮文社新書の「草木塔」だったからだ。
(私も、この昭和46年6月30日に出版された赤色の山頭火句集をもって、一人旅に出た日を懐かしく思い出す。)


 倉島英二コト高倉健は、富山刑務所から平戸の薄香漁港にキャンピングカーで向かっている。途中、飛騨高山の道の駅から、金魚の糞のように付いてくる杉野輝夫コトビートたけし。
倉島は下関警察署で、杉野から山頭火句集「草木塔」を手渡される。
杉野は、関門海峡の壇ノ浦パーキングエリアで逮捕されたのだ。、そして

 このみちをたどるほかない草のふかくも 山頭火 

の句を口にする。杉野は、その句集を倉島に渡す。
手にしているのは「山頭火句集」
その「山頭火句集」を旅の友として、倉島は関門海峡を渡ってゆく。

杉野は、女子高の元国語教師、卒業できない女子高生の罠にかかって、その猥褻行為が元で、教職を解雇される。

「敬愛する山頭火もまた、不幸の連続の人生の果てに放浪の旅に出たのだ。ならば自分も――。」と盗んだキャンピングカーに乗ってふらりと旅にでたのだった。

山頭火の句、
<分け入つても分け入つても青い山>を口にして。

何故、倉島は長崎平戸の薄香漁港へ向かっているのだろう。53歳、癌で亡くなった妻・洋子(田中裕子)が依頼した長崎県平戸市鏡川町の薄香郵便局へ「局留め 倉田英二様」の手紙を受け取りに行く、期限は10日間。

倉島は15年前、38歳の洋子と結婚する、英二は48歳。洋子は刑務所に慰問にくる歌手だった。彼女の18番の歌は、宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」。
小説の中には、この「星めぐりの歌」と「草木塔」が、さりげなくあらゆる場面で紹介されている。(宮沢賢治と山頭火の登場がいいですね。)

 美人妻に浮気されてしまった「イカめし」を売るトップ・セールスマン田宮裕司こと草彅剛もドラマを彩るのだが、何といっても、このドラマの醍醐味は、謎の人物南原慎一コト佐藤浩市の存在だろう、詳しいことは省略。
 彼は、実は濱崎奈緒子コト綾瀬はるかのお父さん、大浦卓也コト百恵ちゃんの息子三浦貴太と結婚することになっている、その二人ウエディング衣装合わせの時の写真を倉島は、「レトロの街」門司港で、南原に渡す。
 8月25日は、53回目の南原の誕生日、47歳からひとりぼっちの7年間を過ごしていた。

 青森刑務所で木工を教えた杉野との出会い。
 妻・洋子の同級生だった南原との出会い。

 洋子がよく口にしていた言葉。

「不思議な偶然の出会いってね、素敵な出来事の前触れなんですって。3回続いたら、奇跡が起きるらしいわ……。」

 奇跡まで、あとひとつ。その出会いはとは…。

洋子は言う
これは、私らしく人生を終えるための遺言であり、あの人らしく、これからの人生を生きてもらうための手紙にしよう、
遺言がプレゼントになるというのは、悪くないアイデアに思えた、
私の人生で最後にして最大のプレゼントにできたら嬉しいと
幸せなわたしからのプレゼント、最後のメッセージ。

その最初の一行は、 「あなたへ」

「…この局留めの手紙は、今回の旅へと強引に誘い出しました。
薄香の海に散骨をしてもらえば、いよいよあなたとお別れです。
これからは、あなたには、あなただけの「一歩」があると思うのです。
その一歩を踏み出して、どんどん素敵な人生を歩んでください。……
あなたと出会えたことは、私の人生における最良の奇跡でした。
出会ってくれて、ほんとうにありがとう。
心から。 洋子」

 ドラマの中で、杉野は、次々と山頭火の句を紹介する。
彼の一番好きな山頭火の句は、

 <ひとりとなれば仰がるゝ空の青さかな>
 淋しいが、しかし自由なイメージが広がる句だと。
 
 私は、
 <ころり寝ころべば青空>の句を思い出した。

 この映画に出てくる人は、旅する山頭火のように、優しい人たちからの厚意を受ける。

倉島は63歳、この映画は、団塊の世代を見つめて、生きようとする希望の喚起、ガンバローよという声が聞こえてくる。

酒が飲めない、コーヒー好きの健さんのコーヒーを飲む場面が、それぞれの場所で展開する。

洋子の座右の銘は、
「他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる」
「人生には賞味期限がない」

倉島は言う

「一度きりのこの人生を愛おしく想い、この先を生きていこうと思うことが
洋子が書き残した遺言に対する、今いちばん誠実な答えになっているのではないか」と。

本を読んで思った、25日の日には映画館へ行こうと思う。
そして、
「日本のマチュピチュと言われている兵庫県の竹田城跡」
「カモメがそれぞれの空へと飛んでいく、夕焼けの美しい平戸の薄香漁港」
を訪ねる旅に出たい、涙しながら、励まされた本であった。

http://www.youtube.com/watch?v=qrU_iyvjJQI

http://eiga.com/movie/57096/video/