今週の山頭火句

今週の山頭火句 朝湯こんこんあふるるまんなかのわたくし 山頭火

2013年5月2日木曜日

「第8回俳句一草庵」のご報告。

 バスを待ちわびてゐる藤の花  山頭火

松山の街は、藤の花も咲いて春風一杯の良い天候に恵まれて、予定どうりに
第8回の俳句一草庵が、4月28日開催されました。

オープニング・セレモニーでは、三人の俳人が登場です。
右から、小林一茶さん、手に持っている句は、

        月朧よき門探りあてたるぞ  一茶
(この句碑は松山市の北はずれ、北条の高橋邸にあります。一茶の俳句の師・二六庵の俳友の茶来に会うために寛政7年に訪れるのですが、寺の住職をしていた茶来は10余年前に亡くなっていました。泊まるところがないので困っていたところ、地元の俳人・高橋五井が泊めてくれ、安堵したのです。)

一茶の左の俳人は、栗田樗堂です。当時四国一の俳人と言われていました。一茶は、尊敬する俳人樗堂を2度も訪ねて、松山滞在日数は半年以上となります。

        浮雲やまた降雪の少しつゝ   樗堂 
この句碑は、松山市味酒の阿沼美神社にあります。)

そして、左に居るのは、一草庵主人・種田山頭火さんです。
持っている句は、
        濁れる水の流れつゝ澄む    山頭火


 今年は小林一茶、生誕250年、栗田樗堂は没後200年を迎えます。
一茶を世に出したのは、荻原井泉水。山頭火は、その俳句結社「層雲」で活躍します。そして松山を死に場所と決めた山頭火。
 松山に縁のある三俳人を偲んで、本年10月13日には、子規記念博物館で、
「樗堂・一・山頭火の世界 in 松山」が、計画されているのです。
そんな紹介もかねて、登場してもらったのです。

 それでは、当日の公開俳句句会「俳句一草庵」の模様を紹介します。
3月に俳句募集をして、535句の投句がありました。
東京をはじめ、東京都武蔵野市、群馬県いわき市、新潟市、富山県高岡市、金沢市、松本市、名古屋市、岐阜県大垣市、愛知県弥富市、群馬県藤岡市、大坂府摂津市、豊中市、岡山市、広島県福山市、高知市、九州は福岡市、大分県国東市からの応募がありました。台湾、韓国からも。
高校では、松山中央高校、松山東高校、決美平成、飛騨神岡高校から、中学生として、埼玉県川越市福原中学生から沢山の投句がありました。
 皆さん本当にサンキュー。

 時間的に公開できる句数に限界がありますので、一次選考を選者の先生にお願いしました。
その結果、一般の部から 51句、高校生・中学生の部 45句が選ばれました。
 その俳句を掲示板ボードに張り出し、参加者全員で優秀句を選定しました。
発言タイムで、会場参加者に選んだ理由など聞いたりするのですが、
そのディベートの後、再投票をするといい俳句の順番が変わったりするのです。


それでは結果を発表します。 (特選のみ、入選句は後日紹介します)

俳句一草庵大賞
  蛇いちご小さき秘密の育ちつつ   岐阜市 若山千恵子 

松山市文化協会会長賞
  あの頃は天まで飛べたふらここよ  松山市 北村まさこ

一浴一杯賞
  山笑う今日はなにして遊ぼうか   松山市 中本静枝  

一草庵若葉大賞
  春だから大きな挨拶してみたり    飛騨神岡高3年 小山千晴

以下は、選者の先生が選んだ優秀句です。
水内慶太・特別
  空せ貝遅日の砂のつまりをり     松山市  丹下恵美子
  空缶の踞りをる春の川         松山中央高校2年 丸本勝典

小西昭夫・特選
  春だから大きな挨拶してみたり    飛騨神岡高3年 小山千晴

白石司子・特選
  水たまり走って飛んで夏がくる    川越市福原中学2年 内田里知

本郷和子・特選
  あの頃は天まで飛べたふらここよ   松山市 北村まさこ

井上論天・特選
  山笑う今日はなにして遊ぼうか    松山市 中本静枝 

熊野伸二・特選
  蛇いちご小さき秘密の育ちつつ    岐阜市 若山千恵子

 <追加コメント>
   蛇いちご小さき秘密の育ちつつ
 誰もかれも、小さき秘密をもってることでしょう。
あなたの小さき秘密は、なんでしょう。小さき秘密に大きな広がりを感じました。

私は、こんな句が好きでした。
  春夕焼ふところ深く持ちあるく      愛知県弥富市 加藤多津子
  闇の中手をさしだすは種田山頭火   川越市福原中学3年 南健太郎
  (種田山頭火 ⇒ 山頭火 だったら最高ですね。)

朝日新聞の野村記者が取材してくれました。