今週の山頭火句

今週の山頭火句 朝湯こんこんあふるるまんなかのわたくし 山頭火

2017年8月28日月曜日

『第7回一草庵・夏の子ども祭まつり親子俳句絆賞』の紹介

第7回一草庵・親子俳句絆賞』
〈平成29年8月5日〉

小西昭夫・選 
特選 〈清水小学校 〉 
いきおいよくコーナー曲ってくるそうめん
                栗田紗梨菜(4年)       
「まかせろ」とにがしたそうめん父が獲る 
                 栗田祈維斗(父)
父と娘の見事な連係プレー。そうめん流しだ。いきおいよく流れてきたそうめ
んを紗理奈ちゃんは取りそこねてしまった。しかし、後にひかえていたお父さ
んが紗理奈ちゃんの逃がしたそうめんを見事にキャッチ。見事な親子の連係プ
レーだ。しかし、このそうめんを食べたのはお父さんだと思うととても可笑しい。 

入選〈姫山小学校〉  
ソーダ水あわがはじける口の中        
                  大澤志織(4年)
目に涼し心に涼しソーダ水         
                   大澤 幸(母)
ソーダ水を口の中であわがはじけると単純化できたのがすごい。志織ちゃんは小
さな詩人だね。ソーダ水の炭酸ののぼっていく様子は本当に涼しい。それを心が
涼しいとはなかなか言えないし、涼しいのリフレインは見事だ。お母さんも詩人
だね。
入選〈湯築小学校〉 
夏の空雲一つなし海みたい   
                    新山泉月(4年)
日焼けして白い水着をきてるみたい 
                  新山久美子(母)
空を海みたいとはなかなか言えないよ。やるねえ、泉月ちゃん。日焼け
跡が白い水着のようなのは泉月ちゃんなのだろうけど、これがお母さん
ならお父さんは惚れなおすよ、きっと。

入選〈湯築小学校〉 
ふろあがり鏡に映る日焼けあと       
                 宮下隼一(6年)
初浴衣小さき足に慣れぬ下駄 
                  宮下美鈴(母)
隼くんは日焼けあとを残して元気に育っている。ふろあがりの日焼けあとも客観
的に見ている。お母さんはそんな隼くんの成長にまだ付いて行けない。だから、
隼くんのまだ慣れぬ下駄の心配をしている。こうやって子供は育つのだ。





白石司子選  
特選 〈清水小学校〉  
夏休み子犬と走る海岸線 
                保手浜 凱(6年)
母の日にないしょで犬かい離婚危機
                保手浜 寛(父)
「犬かい」は、「犬飼い」「犬買い」のどちらだろうか。ないしょだから「犬飼い」、
そして「母の日」だから、それを知らないのは、お母さまだけということであろ
うか。ささやかな「ないしょ」は離婚危機に発展。いや、「夏休み子犬と走る海
岸線」だから、一件落着。子犬によって家族の絆はますます強くなったのである。
子犬と走る海岸線が心地良くさわやかだ。
  
入選 〈清水小学校〉 
 なつやすみかぞくみんなであそぼうね 
               土屋まさおみ(1年)  
 夏休みカイジュウ兄弟家にいる    
               土屋三奈子(母)
 子供たちにとっては、待ちに待った楽しい夏休み、でも母親にとってはちょっぴり
複雑だし、遊びは時に喧嘩にも発展したりとなかなか大変。その辺りが「カイジュ
ウ兄弟家にいる」であり、深刻というよりは、俳諧味あるものとさせているのは、
「カイジュウ」の片仮名表記によるもの。少し冷ややかな目で、且つ、愛情溢れる
目で「檻」、いや、「家」にいる兄弟を観察しているのである。

入選 〈姫山小学校〉
たのしいなみんなでたべるゆうごはん  
               小田圭悟(1年)    
おはなしたくさんたのしいね    
               小田和何子(母)
ゆうごはんは、ひとりよりもみんなで食べる方がずっと楽しい。そして、返歌のよ
うな「おはなしたくさんたのしいね」から、明るい夕食の景が見えてくる。一緒に
食卓を囲み、会話することから家族の絆が生まれるのである。  
     
入選 〈湯築小学校〉
あさがおやさんたべものやさん大いそがし 
               山澤光太朗(2年)  
参観日蚊を叩いたのが父です    
                    山澤香奈(母)      
 あさがおの観察から始まる夏休み。そして、家族でたべものやさんに行く機会も多い
夏休み。観察する方もだけど、観察されるあさがおの方も君の期待に応えないといけ
ないし、たべものやさんも沢山の注文で大いそがし。楽しそうな夏休みだね。そして、父の日にか何かにあった参観日。静まり返った教室の中でパチンと蚊を叩く音。まさ
か父?黙っていればわからないのに、わざわざ「蚊を叩いたのが父です」とネタ晴らししているところが愉快。明るく楽しいそうな家族像がみえてくる。




本郷和子選 
特選 〈湯築小学校〉 
 水てっぽうねらいのまとは親の顔 
                   大坪 凜(4年)
 水鉄砲当てるな飛ばすな母の顔
                   大坪 絢(母)
 思わず笑ってしまった二句。親と子の句がぴたっと一致して上手。
 仲の良い母と子の楽しいひと時が思い浮かび楽しい。    

 入選〈姫山小学校〉  
つばめのこおおきなくちをそらにむけ   
                 岩井咲恵(1年)
頑張れと背中で励ますランドセル  
                 岩井恭代(母)
作者は1年生。大きな口を開けている様子をよく観察している。母親の句は、
大きくて重い背中のランドセルが、子供を励ましているのだがそれは、お母さ
んの励ましの声でもある。

 入選〈清水小学校〉 
かげろうがかぜもないのにゆれるみち 
                山本 碧(1年)
陽炎にゆらりとのびる杉木立        
                山本與志隆(父) 
風もないのに道がゆれているのを不思議だなと思ったら、それは陽炎のためだ
った、ということを発見した。ゆらゆらゆれる道を見て俳句にするなんて素晴
らしい。父親の句も陽炎によって木々がゆらりと伸びるという表現が巧み。

入選〈湯築小学校〉  
あせキラリ内また一本はつしょうり      
               西村愛結(2年)
フィルターの涙でにじむ光る汗        
               西村紀子(母) 
柔道の内またで一本決まった。初勝利であったのだ。上五にあせキラリ
で入ったことで句がいきいきとなった。母親の句、カメラでその場面を
撮っていたのか、初勝利の感激で涙がにじみ汗も光った。


 
熊野伸二選 
特選 〈姫山小学校〉 
 僕よりも三歳年上扇風機       
                 松下蒼歩(3年)
老体にムチ打ち働く扇風機 
                  松下哲也(父) 
扇風機は一〇年近く頑張ってくれているのですね。扇風機はお父さんのようです。
親子の愛情が風にのってやってきました。
        
入選〈清水小学校〉 
あつい夜家ぞくみんなでせんぷうき 
                小池美羽(2年)    
青空へ送ってみたいかげおくり 
                小池美裕幸(母)
クーラでなく扇風機を囲んでの家族の話声が聞こえてきます。
そんな時、お母さんは、雲一つない青空に“かげ”を送ってみたいと
思われたのでしょう、そんな暑い夏の夜を垣間見ることができました。
    
入選〈清水小学校〉
そらのうえかみさまみてるぼくたちを
               光田凱海(1年)    
父母も見守ってるよ近くから    
               光田智世(母)
きっときっと神様はあなたたちを見守っています。でもあなたを一番見守って
いるのは、お父さんお母さんです。だまっていてもわかるでしょ。

入選〈湯築小学校 〉
かぶとむしいつでもつのはかっこいい   
              石川陽祷(1年)      
息子との日課はかぶとゼリー換え 
              石川照美(母)
かぶとむしを友達のようにかわいがっている石川君の姿が見えてきます。
お母さんと一緒に食欲おうせいなかぶとむしに毎日、昆虫ゼリーをやっ

ている親子の姿、かぶとむしがうらやましい。

まつやま山頭火倶楽部いいで賞
<親子俳句絆賞>                                                                      
ことしもねきたアルプスでやまのぼり   
              真鍋義正(清水小1年) 
子と仰ぐ一万尺の天の川     
              真鍋俊正(父)
  思わす、上高地の河童橋の風景が目に浮かびました。穂高に登ったのかしら?
  “一万尺にテントを張れば、星のランプに手が届く”。お父さん、我が子とアル

プスの夜空を見上げるなんて、至福のひと時ですね。景が見事に見えます。